動物病院と飼い主さんを結ぶコミュニケーションサイト



特集
2008年7月26日、27日に開催された、JAHA30周年年次大会に参加してきました。
その時の市民講座などの様子を数回に分けてレポートいたします。
当日遠方で参加できなかったかた、また参加はしたものの、いくつかの講座には参加できなかったというかたは是非ご覧ください。


基調講演


「Bond-centered Practice:人と動物の絆を大切にする動物医療」

講師:石田卓夫先生(JAHA副会長)
日時:26日(土)12:45〜13:15

伴侶動物医療(家庭動物医療)の役割は、ヒューマン・アニマル・ボンド(動物と飼主の間に存在する絆)を護り、実践し、讃えることにあります。従って、動物病院関係者は、患者は動物と飼主であり、この絆に対して治療を行っていることになります。 動物病院の存在は、いうまでもなく飼主の存在なくしてはありえません。今日の獣医療や動物病院の目的・理念がどうなっているのか、どうあるべきなのか、飼主が動物病院関係者とともに参加し意識を共有することが、すばらしい動物との共生社会につながります。


講演内容


JAHAのスローガン

今回の年次大会はJAHAが設立して30年目、社団法人の認可を受けて20年目の節目となる大会です。
Bond Centered Practice(人と動物の絆を大切にした診療)がこれから10年間のJAHAの理念となります。

獣医学の考え方

日本の主な獣医学=産業獣医学(食肉を中心としたもの・食べることを前提に予防に重きを置く)
動物病院の獣医学=伴侶動物獣医学(生きるために動物と共生する)

飼い猫・飼い犬という考えから家族の一員としての考えを持つようになってきており、 家族の一員としての最高の医療するという考え方に変わってきました。
そこに存在するヒューマンアニマルボンドを守るために獣医師が存在しています。
動物を治療することで、その飼い主の精神的な部分を補うことが出来ます。
ヒューマンアニマルボンドは良い家庭を作り、 良い家庭は良い社会を作ります。

人と動物のふれあいがもたらす効果

ペット
  → 飼育している動物であればなんでも良い。

コンパニオンアニマル
  → 習慣や病気などが広く認知されており、人と動物との共通感染症がない。

以上をクリアしている動物は「犬・猫・兎・馬」です。

人と動物のふれあいのためには、このコンパニオンアニマルに該当する動物が必要です。
JAHAのCAPP活動は認定を受けた適切な動物とハンドラーがCAPP活動を行っています。
アニマルセラピーは様々な用例で、医療的にも効果があるということが実証されており、 動物が横に居るという事はかなりの医学的効果があります。
人間のポジティブな部分が動物と共に居ることで引き出されます。

JAHAの獣医師は絆に対する医療

良い骨の繋ぎ方が出来たという考えではなく、この骨を繋ぐことによってこの動物と人間の絆が維持されたという考えが伴侶動物医療です。
また動物が亡くなっても人々の間に絆が残るような、ヒューマンアニマルボンドのための医療を行います。
同じ診断名でも時間軸、その動物と飼い主の関係、遺伝により全て症状は変わります。
それらを全て加味した上で、適切な治療を行います。

それがもし治らない病気だった場合

産業動物医療=治さない

伴侶動物医療=完治を目指さない治療をする

双方共にクライアントのニーズに沿った考え方です。
伴侶動物医療のクライアントのニーズとは、動物のクォリティオブライフの維持。
完治が不能でも苦痛の軽減、クォリティオブライフの維持は可能です。
入院は出来るだけ早く終わらせて、家で暮らさせる。
動物が苦痛無しに少しでも長く行き続けることを目指します。
(半年生きるという事は人間に換算すると5年に相当する)

獣医師は病気と戦うというのは錯覚。
動物の体という戦場で、戦ってしまいます。
戦場で負けるとどうなるか?
その戦場はボロボロになるが、獣医師は何も失いません。
それは患者にとって苦痛でしかないはずです。
無理矢理戦うのではなく、その家族とも相談をしながら共に患者の事を考え、保護者の同意を得て治療を行うようにします。
学術だけの医療ではなく、ヒューマンアニマルボンドと学術を両方を意識した治療を行うこと。
病気に対する医療ではなく、絆に対する医療を行うのです。

 

石田卓夫先生




JAHAFriends編集部より一言

絆に対する治療という考え方は目から鱗でした。
私たちはコンパニオンアニマルから沢山の癒しを頂いています。
その癒しを通して築いた絆は、例え動物が亡くなっても良い思い出としてずっと心の中に大切にしまっておきたいですね。



次回は柴内先生と細谷先生の記念対談の様子を御紹介いたします。

 
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