犬が飼い主との間に非常に緊密な関係を持っている場合には、飼い主から突然離されると不安になることがあります。この状態を分離不安と呼びます。分離不安の症状の主なものに、破壊行動、無駄吠え、トイレ以外での排尿、排便があります。
トーマスちゃんはいつも飼い主さんとべったりでいた状況から、急に留守番をしなければいけない状況になり、分離不安に陥っている可能性が高いと思われます。たとえ粗相をしていてもけっして怒ってはいけません。いっそうトーマスちゃんを不安にさせてしまい、さらに悪化したり、飼い主さんの前では排尿することを恐れ、隠れてするようになります。
さて治療法ですが
1.飼い主の不在に犬を徐々にならしていく。
分単位の短時間の外出から少しずつ慣らしていく。
2.外出を知る手がかりの排除。
犬が飼い主の外出の前触れと捉えているような手がかりとなる行動(鍵をもつ、靴を履く、上着を着るなど)をくり返し行い、
何も感じなくなるようにさせる。
3.外出時と帰宅時における愛情表現の排除。
出発時はそっと出ていき、帰宅時は犬を興奮させぬよう15分間は無視する。
4.不適切な罰の禁止。
5.散歩の頻度を増やす。
外出中は疲れて眠っていられるように散歩時間をながくする。
6.犬の安心できる場所の提供。
クレートを与え犬が安心だと感じる場所を作ってあげる。
7.飼い主の外出の時のみに与える夢中になれるおもちゃ。
飼い主の留守と楽しい気分を結びつける。飼い主さんが出かけてくれないかなあ楽しいおもちゃがもらえるのにと思わせる。
8.基本的なトイレのしつけの原則をもう一度くりかえす。
決められた場所ですると、なんて素敵なことがおきるのだろうという陽性強化が基本です。
9.薬物療法。抗不安薬を内服させる。
薬だけでは効果はありません。行動修正法もかならず一緒にしてください。
以上のようなことが役に立つと思います。怒らずに根気よく頑張ってください。
JAHA外科認定医 菅野信二先生
(兵庫県・南が丘動物病院)
|